遊び心
気がついたら桜は散り始め、花びらは池の水面に行列、若い葉が姿を現していた。椿をちょこんと柵の上に並べたのは、だあれ?



オーストリアへ逃避行vol.2
モーツァルテウム時代の友人たちと、ザルツブルグ中央駅のカフェで朝食を取りながらおしゃべりの花を咲かせてきました。お2人とも結婚して現地に残った方で、ハープ専攻だったYさんとお会いできたのは、きっと10数年ぶり!息子さんは才能あるピアニストで、今では国際的に活躍しています。モーツァルト週間にも出演したとか。

昔の友だちの良いところは、昔の話でも、今の話でも、どんな話題でも話せてしまうところ!みんな幸せそうに暮らしているので良かったです。

滞在先の家の窓から 
ちょっと面白いなーと思ったのはマクドナルド。地産地消を目指していて、オーストリア産のポテトやお肉などを積極的に利用していると動画で紹介されていました。どうりでポテトがおいしかった

今回、オーストリアの郷土料理も食べて帰ろうということで、オーストリア人の友人2人を誘ってRechenwirtへ。オーストリア料理のなかでも1番大好きなターフェルシュピッツ❤️ようやく食べられた❤️もう思い残すことはない(でも次はお目当てのあのレストランで食べたい。このユーロ高では高級店は行けない)

付け合わせのポテトも素晴らしい 帰国の途につきました。いつもはドイツの空港から飛ぶのですが、今回は珍しくザルツブルグから飛行機に乗りました。

ファーストラウンドのパン 
東京は雪だった日に何故かザルツブルグは晴天 
雲がダンダン模様でおもしろい! 
ヒースロー空港近く。よく見ると、どの家も敷地は細長く、2階か3階建ての横幅が狭い家と庭、という組み合わせ。 空中からロンドンの街並みを楽しんだ後は、ヒースロー空港でブリティッシュエアウェイズのラウンジGalleries Club Loungeでのんびり。BAラウンジのお食事は素晴らしい!!以前はイギリスはご飯がまずいことで世界的に知られていましたが、企業努力の賜物。JALのラウンジより、ずっと、ずっと、楽しめました。JALのラウンジは、本当にクオリティー低下が著しい。以前はおいしいお食事と、優れた設備で癒されたけれど、その時代を知っているだけに、コストカットの影響が手に取るようにわかる。そういうのって、戦略としては失敗なのではないかと‥
ともあれ、BAラウンジのお料理ご覧あれ!





ラウンジで夜明けを 
シャワーは至ってシンプル。そういうのはエコの観点から、寧ろ賛成できます。 JALのラウンジのこと、色々書いてしまいましたが、やはり機内は素晴らしい。客室乗務員さんの心配りは、他に類を見ません。そして清潔感。
でも、ごめんなさい。やっぱりJALのお食事は美味しくないです。ビジネスかファーストに乗らないと、もうダメなのかもしれません。JALのお食事の質が低下したのかもしれないし、他の航空会社が頑張って克服して、追いつかれてしまったのかもしれませんね‥

プレミアムエコノミーにアップグレードしてもらえました。嬉しい☺️ 一週間ほどの旅行でしたが、旧友と親交を深めたり、懐かしい料理を食べたり、なんと言っても、またヴァイオリン三昧で、色々な弓を試したり、楽譜を買ったりして、本当にリフレッシュできました。その成果は来年のリサイタルで!
あと、実は、某雑誌からのご依頼で、今年解散するハーゲン弦楽四重奏団のヴィオラ奏者ヴェロニカ・ハーゲンさんにインタビューしてきました。普段ちょっとできない質問も沢山投げかけて、全部答えてくださいました。ひとつひとつの質問に非常に丁寧に答えるヴェロニカに、クラシックの中でもある意味最も真面目&地味な「弦楽四重奏」というジャンルに人生を捧げた音楽家の姿を見ました。その生き方に敬服。ハーゲンのみなさんには本当にお世話になったので、今年7月の公演は涙が止まらないだろうなぁ。。。
オーストリアへ逃避行⁈
1月30日から一週間ほどザルツブルグに行ってきました!

羽田空港JALのラウンジでスッキリしてから 
ヘルシンキの空港で夜明けを眺めながら乗り換え便を待ちました。案外、夏の夜明けのほうがカラフルだったかも。 
ヘルシンキからミュンヘンへ向かう飛行機の中。あたり一面が赤く染まりました。 
ザルツブルグ着 
ザルツブルグは毎年一月から二月にかけて、「Mozart Wocheモーツァルト週間」という音楽祭が開かれます。室内楽から管弦楽、オペラまでモーツァルトの名作が上演されます。音楽祭閉幕直前にザルツブルグに滑り込めると分かり、チケットを探しましたが、主だった公演は全てソールドアウト。でも私の大好きなザルツブルグマリオネット劇場の音楽祭での最後の公演に行けました。
自然破壊をテーマとした演目で、モーツァルトの名曲を歌い手3名と小さな合奏団が出演して、マリオネットと共演するというもの。歌い手さんも演奏家もみんな上手で、日本でこのレベルのことはできないのではないかな〜。音楽家の実力の問題ではなくて、文化や環境に対する意識がもっと高まらないと、、、
第20回Copでのフェルナンブコの件
ウズベキスタンで2025年11月24日から12月5日までの間に開催されたCOP20(ワシントン条約第20回締約国会議)で、フェルナンブコは附属書2にとどまることが決まりました。
ひと安心ですが、注釈が改定されて、これまでより厳しくなりました。改定された規定は、90日後に施行されます。
外務省のwebサイトには、「附属書IIに留めた上で、注釈を改訂し、商業目的の取引を禁止し、また完成品の非商業目的の輸送のみ適用除外とすることが明記された。さらに、当該種の国際的な管理体制を関係各国が構築することを求める決定が採択された。」とあります。
International Alliance of Violin and Bow Makers for Endangered Speciesのwebサイトに、実に様々な情報が掲載されています。この問題について、よく知りたい方はご覧になってみてください。新しく加わった条件も説明されていますが、英語で分かりにくい部分もあるので、ちょっと意訳します。
• Musicians will be able to travel with their Pernambuco bows without permits when crossing borders for performances, repairs, and other activities that do not result in a change of ownership.→「Musicians」は演奏活動や修理、その他の活動をする目的で国境を越える時に、許可証なしで、フェルナンブコが用いられた弓を携行していいが、弓の所有者を変更することは認めない。【つまり、音楽家が弓を持って外国に行っても良いけれど、行った先でその弓を売ったり、譲渡したりしてはいけない】
• Specialized permits will be required for all international sales of existing and new bows, requiring proof that the wood was harvested before the species was first CITES listed in 2007.→既存、新作に関わらず全てのフェルナンブコの弓を国際的に売買するには、特別な許可を得なくてならない。その許可申請には、2007年(この種がCITESに記載された年)以前に伐採されたフェルナンブコで作られた弓であることの証明が必須となる。【つまり、その弓に使われているフェルナンブコが、2007年以前に伐採されたと証明できない場合は、国際販売の許可はおりない。証明できる弓の場合も、国際取引には許可証の取得が必須】
• Global governments and musical instrument stakeholders will partner on actions to strengthen legal compliance, develop an identifying system for available wood and bows, and support a sustainable future for the species.→各国の政府と楽器関係者は、法令遵守を強化し、利用可能な木材や弓を識別するシステムの開発や、将来的にこの種の存続の実現を支援するための活動において、協力しあうこと。


こちらからCOP20の討議の資料を閲覧できます。
ちなみに(弓になる前の)フェルナンブコ材の商取引は「従来通りの商取引が継続」(『サラサーテ』2026年2月号40ページ)だそうです。
演奏する人たちにとっては、これまで通り弓を持って自由に移動できるという点で、とても良い結果。厳しくなったことで、弓の値段がますます上がりそうなのは遺憾。弓職人さんは、国内市場だけをターゲットにしている方はともかく、国際市場をターゲットにしている方(例えばヨーロッパの製作者)は、2007年以前の用材だと証明しないと国外で販売できないことになるので、大変そうです。やはりこのような不安定な状況では、製作技術の伝承が危機に瀕していると言って良いと思います。日本では近年、かなり優れた弓が製作されるようになりましたが、売られている弓の割合としては外国製の弓が多いのが実情です。日本のディーラーさんは仕事が増えそうです。
細かいことを言い始めるとキリが無くて、国よって国内法が異なったり、自分が「Musician」と証明できるか?ナドナド、弓を持って海外渡航する方はご用心ください。日本の常識が、海外では通用しないことは多々あります。私の場合、「Musician」と証明することは、それほど難しくないように思いますが、渡航先の国内法はどうなのか心配になってしまいます。象牙の印鑑を今でも買えることから推測すると、もしかして日本は国内法が割と緩め?渡航先の国の国内法を把握することは、さすがに難しいでしょうから、どうか皆さまもお気をつけてください。
今の時代、文化を守ることの難しさは増すばかり。フェルナンブコの問題は弦楽器奏者としては大変悩ましい問題でしかありませんが、自分が置かれている立場からだけでなく、様々な角度から見つめ直すことで、社会の中の存在としての音楽家や音楽産業の従事者の在り方を根本から問い直す、ひとつの契機になるように思います(と言うより、そうでも思わないと、やっていられません‥)。
2026年のはじまり もうすぐコンサート!
みなさま、明けましておめでとうございます。お正月はどのように過ごされたでしょうか?
私はこちら、1月11日の「コンサートに行ってみようvol. 5 初夢ヴァイオリン名曲コンサート🎵」残すところ一週間で、お正月もへったくれもない!という状況でございます。


練習に没頭しているだけでなく、レクチャーのためのお勉強もしなきゃ‥と、そわそわした日々です。今回は、カフェやサロンで演奏された音楽の特集コーナーを設けたのですが、1920年代、30年代のカフェやサロン音楽の情報を集めるのは大変!情報の少なさに唖然としております。ステータスの高い人たちの、お遊びの場の話なのですが、日常的なイベントの話って、なかなか歴史に残らないのです。
素晴らしいピアニストのラファエル・ゲーラさん。共演させていただくのは10年以上ぶり。12月の最初のリハーサルの前はドキドキしましたが、リハーサルが始まったら、自然とひとつの音楽が生み出されていき、言葉ではなく音で会話が始まりました。まるで音楽の玉手箱を開いたようで、「何も心配いらなかったんた…」と安堵しました。今回、ソロも一曲演奏してくださいます。
またプレコンサートでは、物井友子先生がソロをご披露してくださいます。去年大盛り上がりだったショパン国際ピアノコンクールにちなんで、ショパンの名曲「華麗なる大円舞曲」と「革命のエチュード」です。ふたりのヴァイオリンの演奏者も、準備ばっちりです!
3日に兄の一家が遊びに来ることになっていたので、2日の夜にチーズケーキを焼いておきました。かなり良さげな焼き加減‥一晩冷蔵庫で寝かせて、昨日みんなで食べたら絶品😋お褒めの言葉を沢山もらいました。来年も作っちゃおうかな!
ともあれ、2026年、ひっくり返ったような世界の秩序が安定することを祈っています。子どもたちが楽しく毎日を送れる世界になりますように。

ところがフェルナンブコだけじゃないーーーオーボエ、クラリネットなどに使うアフリカン・ブラックウッドも
今日(2025年11月24日)始まった第20回CoP(Conference of the Parties)に対して、ワシントン条約ーー絶滅の危機に瀕する野生動植物の国際取引に関する条約(略称CITES)ーーの最も厳しいランク(★)へ引き上げるように要望が提出されたのは、実は、弓奏弦楽器の弓の原料・フェルナンブコだけではありません。オーボエ、クラリネットなどに用いられるアフリカン・ブラックウッドもです。グラナディラ(Dalbergia melanoxylon)とも言います。
アフリカン・ブラックウッドの取引規制は、1994年の第9回締約国会議(CoP9)で見送られたのち、2017年1月2日のCITES第17回締約国会議(CoP17) で、フェルナンブコと同じ「附属書Ⅱ Appendix2」への指定が決定されました。この度の提案はそれを「附属書I 」に引き上げようと言うものです。
附属書についてもう一度、内容を確認してみましょう。
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★ワシントン条約では、絶滅のおそれがあり保護が必要と考えられる野生動植物を「附属書I Appendix1」「附属書Ⅱ Appendix2」「附属書Ⅲ Appendix3」の3つに分類しています。
現状「附属書Ⅱ 」・・・「現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの」⚫️商業目的の取引は可能 ⚫️輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
提案「附属書I 」・・・「絶滅のおそれのある種で取引による影響を受けている又は受けるおそれのあるもの」⚫️学術研究を目的とした取引は可能 ⚫️輸出国・輸入国双方の許可書が必要
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この提案に反対するオンライン署名活動を繰り広げているサイトでは、以下のように説明されています。文中の「他の産業」は音楽産業ではない産業のことで、「過剰消費」は、おそらくは多くの場合、違法伐採や輸出だったのではないでしょうか。
- 何世紀も前から世界的に有名な管楽器メーカー——特に欧州の会社——は、他の産業がアフリカン・ブラックウッドの過剰消費をしたことで不利益を被り、この代替不可能な資源へのアクセスを失う可能性が高い。
ちなみに、ヤマハのwebサイトによると、アフリカン・ブラックウッドの主な産地はタンザニア南部とモザンビーク北部で、この資源を枯渇させないために、2015年からタンザニアでサステイナブルな森づくりが始まっているそうです。
SNSで世界と繋がっているので、ヨーロッパや北米での動きも手に取るようにわかります。今度こそフェルナンブコが「附属書I」に引き上げられそうだという話がちらほらと聞こえるようになった頃、アフリカン・ブラックウッドも同じ局面にあり、決定するとオーボエやクラリネットの製造、楽器を持った移動が困難になるという話もSNS上で見て、知っていました。
そして、ここにきてフェルナンブコについては、遂に日本でもなんとか食い止めようという動きが出てきました。ところが、なぜかアフリカン・ブラックウッドについては殆ど声は聞こえてきません・・・。どうしてなのか分かりません。「附属書Ⅱ 」になってから、そんなに経っていないので、もしかしたら関係者は「まだ大丈夫」とたかを括っているのかもしれませんし、単にわたしが情報を把握できていないだけかもしれません。
絶滅しそうな植物の保護は、もちろん実施してください。ただ、音楽という人類が数百年の時間をかけて育んできた遺産を守ることも、また必要だし、重要だと思います。優れた演奏家であればあるほど、楽器に対するこだわりも増します。道具は非常に重要です。スポーツ選手がベスト記録を叩き出すのに、どんなスニーカーでも良いはずがありません。私たち音楽家は、瞬間の芸術で勝負をしているのです。オーケストラ連盟から私が所属するオーケストラへの依頼で、所属する弦楽器奏者がメインで使っている弓の原材料の調査が行われました。もちろん100%フェルナンブコでしょう。問題なのは、わたしたちクラシック音楽界の「常識」が、世間では全く知られていない点にもあります。丁寧に説明することが必要です。伐採木が楽器用材として使用される率は、かなり低いと想像します。もし今回のCopで、提出案が採択されなかった場合はチャンスです。その時こそ、どのようにするのが最善なのかを慎重に検討して、植物の保護と楽器にまつわる技の継承を両立させるような仕組みを作ってもらえたらと思います。
【Cop20の結果はこちらからhttps://enaviolin.com/2026/01/05/第20回copでのフェルナンブコの件/】
秋の食卓
誰かと会うと、物価高の話ばかりになりますが、今秋は秋の味覚がとても美味しく、しかもお安い!
栗おこわ用に4, 50個、皮を剥きました。

作曲家のロッシーニは美食家としても有名です。クラシックの音楽家は、食べるの大好きな人ばかりです 笑
最近、秋刀魚や鯵をお刺身用におろすなど、延々と美食の日々が続いています(^^)
かじのヴァイオリンスクールがAmeba塾探しの「東京都内のバイオリン教室おすすめ93選」に
Ameba塾探しの「東京都内のバイオリン教室おすすめ93選」に当教室が紹介されました!!
Amebaさん、どうもありがとうございます。
「東京都内のバイオリン教室おすすめ93選」へのリンク
https://terakoya.ameba.jp/lessons/a000001617/こちらからは塾を見つけられるみたいです。
Ameba塾探しのTOPページへのリンク https://terakoya.ameba.jp/ユニフィルの定期演奏会!曲目解説を書きました
先月19日に行われた東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団第44回定期演奏会に出演しました(長年、第一ヴァイオリンの団員を務めさせていただいています)。曲目は、バーバー「弦楽のためのアダージョ」、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」と「交響曲第6番 田園」。バーバーは、もしかしたら弾くの初めてか、ずっと前に弾いたかも?という感じでしたので、先ず自分の練習で、1から曲に向き合うことから始めました。とは言っても、やはり人数の少ない弦楽だけの合奏なので、音の作り方やフレージングをセクションでまとめることが大事です。そして、演奏会当日はホールの音響に合わせて、調整することも必要です。かなり思いっきり弾くことになりました。

ユニフィルの定期演奏会のプログラム掲載曲目解説を、今回初めて書かせていただきました。タイトルは「神への祈り、そして賛歌で締めくくる大胆不敵な試み」。アメリカの近代作曲家バーバーで幕開けて、メインの2曲をベートーヴェンという組み合わせは結構珍しいのではないかと思ったのですが、こんな意図があったかな〜と想像しながら書きました。

先日、バーバー作曲「弦楽のためのアダージョ」の動画公開の知らせが届きました。是非視聴してみてくださいね!
ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロを弾く人みんなの危機(4)〜フェルナンブコと弓製作者と音楽家の未来
ベルリンフィルのホームページに、先日、第二ヴァイオリン奏者のエヴァ・マリア・トマシEva Maria Tomasiさんのインタビュー記事(https://www.berliner-philharmoniker.de/stories/fernambuk-interview-mit-eva-maria-tomasi/)が掲載されました。このインタビューは、フェルナンブコを巡る現状について、エヴァさんが語ったもので、余談ですが、エヴァは、私が留学中にエキストラ出演させていただいていたザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団のコンサートマスター マルクス・トマシMarkus Tomasiさんの妹さんです。ご兄弟はザルツブルグ出身で、マルクスは最近退団しましたが、エヴァはまだベルリンで頑張っていて、世の中にこんなに沢山ヴァイオリニストがいるのに、誰も触れないかに見えるこの話題について彼女が声を上げたことを、とても誇りに思いますエヴァ素敵
以下は、エヴァのインタビュー記事「Zwischen Baum und Bogen」から抜粋です。読みやすさを優先したので、多少意訳した部分がありますことをご了承ください。また記事で言及されている、国際ペルナンブコ保護イニシアティブ(the International Pernambuco Conservation Initiative、略称 IPCI)は活動資金の支援を募っていますが、日本ではなかなか入手しにくい情報なので、このブログの一番下に記しました。
エヴァのインタビュー「Zwischen Baum und Bogen Eva-Maria Tomasi im Gespräch über Fernambuk」
フェルナンブコが弓に使われるようになった経緯は?
バロック時代の弓は全く異なる形状でした——(今の弓とは逆に)外側に半円を描くようにカーブが付けられていました。当時の弓は、弓毛の張りは親指で調節する仕様になっていました。時が経つにつれ、弓はさらに進化しました。その過程で重要な役割を果たしたのがフランソワ・ザビエル・トゥールテです。1775年頃、彼は現在も知られる弓の形を確立しました:凹面形状で、現在も変わらない特定の長さ、そして弓を張るためのネジ付きのフロッグを備えたものです。
トゥールテ以前に、弓はsnakewood, amourette、yewの木材で作られることが多かったのですが、しかしトゥールテは、フェルナンブコが理想的な弓に必要な全ての特性——密度、強度、張力、同時に弾力性と柔軟性——を備えていることを発見しました。この長所全てを網羅した木材はフェルナンブコしかないので、そのあと約250年間にわたって、ほぼ全ての高品質な弓にフェルナンブコが使われてきました。現在はカーボン製の弓が製造されるようになりましたが、品質面では全く比べようがありません。

親指で弓の張り具合を調節する様子。以下のサイトから転載させていただきました。
https://www.baroquemusic.org/barvlnbo.htmlフェルナンブコが危機に瀕していることは、最初にいつ認識されたのか?
フェルナンブコは数世紀にわたり減少を続けています。住宅建設用資材に用いられ、比較的少量が弓製作用に回されています。1970年代に最初の植林プロジェクトが開始され、約300万本のフェルナンブコの木が植樹されました。2007年、フェルナンブコの木材はCITES(ワシントン条約)の保護対象に指定されました[後略]。
音楽業界はどのようなアクションを起こしたのか?
1999年に、国際ペルナンブコ保護イニシアティブ(the International Pernambuco Conservation Initiative、略称 IPCI)が設立されました。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団も支援しているIPCIは、ブラジル、北米、ヨーロッパの会員によって設立された非政府組織で、フェルナンブコの在庫の保護、持続可能性の確保、再植林の促進、違法取引防止を活動の目的としています。IPCIの主導により、新しくフェルナンブコの木を植樹することや、研究プロジェクトが長年進行中しています。IPCIは、既存の弓を引き続き使用しながら、保護下で栽培されたフェルナンブコ材を用いた新しい弓を製作していけるように取り組んでいるのです。こうした方法が将来実現可能かどうかは分かりませんが——明らかに音楽家とオーケストラにとって極めて重要な問題です。
今、わたしたちはどうするべきなのか?
絶滅しそうな木がここにある。そう聞いたとき、その種の存続を守ることは私たちの使命だと、多くの人は考えます。私もその一人だし、エヴァも、弓に携わる音楽業界人誰しもが思うことでしょう。問題は、弓を使って楽器を奏でることが、多かれ少なかれ種の存続を脅かすことに繋がってしまったことです。だからと言って、フェルナンブコの弓で弾かない将来なんて、考えられません。ただ、私の世代の演奏家にとっては、フェルナンブコの弓は既に持っていて、もう買う必要がないので、海外に行く時くらいしか問題になりません。演奏旅行も楽器パスポートを取得すれば可能ではあるでしょう。一番大きな影響を受けるのは、これから弓を買う子どもや若手音楽家たち、そして長い目で見ると、何ランクも下の音しか出ない弓で奏でられた音を聴かされる聴衆の人たちだと思います。クラシック音楽の音が変わってしまうのです。
しかし弓の原料として使ったことが、この種が絶滅の危機にあることの最大の理由ではないようにも見えるのです。何が問題だったのか、何が今の問題なのかを、遠い日本で把握することは、とても難しいです。日本人がヴァイオリンを弾き始めてから、まだ(もう?)150年くらいしか経っていませんし、まさに地球の裏側にある国で起きていることで、言語も文化も違うブラジル特有の深い事情があるのではないでしょうか‥‥つまり、よく分からないことを考えても何も前に進めない、というのが多くの人が共有する現状だと思います。
エヴァは「今何をすべきでしょうか?」という問いに、次のように答えています。「私は、現在最も必要なのは可視性だと考えています。何が問題なのか、政治に対して明確に伝える必要があります。多くの人は、これを単に種の保護問題だと捉え、当然支援したいと考えています。私たちも同じです。問題は、どのように保護するかです。私たちは単に、さまざまな選択肢とその影響について議論することを求めているだけです。」ここでエヴァは「可視性」についてあまり具体的に話していませんが、これが「深い事情」の部分だったりするのでしょうか。
いずれにしても、フェルナンブコの絶滅の危機の問題と、規制引き上げによって降りかかってくる問題を、一緒に論じようとすると難しいですね。植樹しても、弓の原料が取れるようになるまで30年くらいかかると聞きました。規制を引き上げるとしても、注釈付きで、楽弓の運搬と製作については例外措置を設けることはできないのでしょうか?そして、植樹によって確保したフェルナンブコの商業取引は許可にするとか。また、危惧されるのは、フェルナンブコの規制が一旦引き上げられたら、そのあとも半永久的に続くのではないだろうかという点。「種の存続の問題がある程度解決したら緩和する、目標はXX年間」というような目安があれば、文化の継承者たちの受け止め方も違ってくるような気がします。
私がここで文句(?)を言っても何の解決にもなりませんが、長年継承されてきた文化の重みというのもあるはずですから、弓製作技術保護と継承についてもちゃんと目配りしてもらえないものでしょうか?人類が何百年かけて育んできた文化はそっちのけで、動植物保護の観点からだけで政治が動いてしまっているのは、完全な片手落ちなのではないかなぁと思っています。両立させられないのは、結局政治の力不足なのかもしれないですね。
★国際ペルナンブコ保護イニシアチブへの募金について★
この団体の存在は全く知らなかったのですが、フランスの有名な弓製作者Pascal Camurat氏がSNSに投稿していて、なんとなく知るようになったのが最近です。エヴァのベルリンフィルの記事にはドイツのIPCIのリンクが貼ってありましたが、ドイツ語だけ。他の言語でなければ日本人には敷居が高いので、他の国のIPCIのウェブサイトを探してみました。英語がわかる方はアメリカのIPCIかカナダのIPCI、フランス語がわかる方はフランスのIPCI、ドイツ語の方はドイツのIPCIのホームページから辿ってみてください。お支払いには、paypalやクレジットカードが使えるシステムになっています。
沢山お金を払ってフェルナンブコの弓を買うか、フェルナンブコ以外の木材の弓(こちらも連鎖的に値上がりするかも)を買う、それ以外の人はカーボンの弓を買うというのが第一段階に起きて、そのあとは、否が応でも、カーボンがスタンダードになる、と予想しています。
弓弦楽器を弾くあなた、これでいいですか??
CITESの185の加盟国による国際会議は、今年(2025年)11月24日から12月5日まで。それで規制強化が決まったら、3ヵ月後くらいには証明書を携行しなくてはならなくなりそうだから、ヨーロッパに行くなら2月くらいまでがいいかなー🤔と考えています。
そしてもうひとつ、気になっていることがあります。。。